賃貸管理会社はどう選ぶ?賃貸管理の業務をマスターしよう
2020年8月31日
賃貸管理会社はどう選ぶ?賃貸管理の業務をマスターしよう
結婚で所有していた物件を手放し、郊外に引っ越すことにした方、遺産相続で不動産を受け取ったはいいものの空き家のまま手付かずで放置している方、転勤で所有物件を一時的に貸し出したいと考えている方…賃貸経営を始めるきっかけは人それぞれです。それでも、「賃貸経営って面倒が多くて日々の生活に悪影響になるのでは?」と不安を抱き、なかなか賃貸を始められないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
確かに、今まで自分が使っていた物件を他人に貸し出すことで、大切な物件を汚されてしまったり、特に、金銭の絡む契約や解約時には入居者と揉めることもあるかもしれません。
では、賃貸経営を始めるにあたってまず大事なことは何でしょうか。それは、当事者意識を持つことです。有名な管理会社や知り合いの不動産会社にすべて任せておけば大丈夫だろう、それこそが賃貸経営でトラブルを招く原因となります。
まずは、自分がその不動産のオーナーであるという自覚を持って、業務内容や賃貸経営の仕組みを理解した上で、利益最大化、手間の削減のための業務委託先を選ぶべきです。
この記事を読めば、管理業務の内容や実例を詳細に把握することができます。また、それだけでなく、賃貸経営をするにあたって賃貸管理会社を使うべきか否か、何を基準に管理会社を選べばいいのかについても自分自身で考えられるようになるため、初めての賃貸経営でも安心できるような知識が身につきます。
賃貸管理における業務とは?
賃貸管理の仕組み
賃貸管理とは、物件に入居者を誘致するために募集業務をしたり、ご契約されてからは家賃の集送金と入居中のトラブル対応をしたりと物件を貸し出すために必要な業務を指します。
賃貸管理においては、自分が所有する賃貸物件が対象であり、建物全体の管理ではないため、建物のエレベーターや駐車場などといった付属設備については、1棟管理のオーナーでない限り、自分で対応するといったことはありません。
物件以外のトラブルや住人同士のトラブルなどについては建物の管理会社の管理対象となります。
また、賃貸募集をして入居者が決まったら終わりというわけではなく、契約書の発行や、設備故障が起きた時の設備修理、交換、更新の手続き、解約時の原状回復工事の手配など、賃貸管理の業務は多岐にわたります。
それでは、実際にどのような業務があるのか、実際に不動産管理会社で働く著者が、大変だと感じる順に独断と偏見でご紹介していきます。
賃貸管理の業務 ①賃料の集金と送金
まずは、毎月の家賃の集送金です。基本的には口座振込や引き落としを利用します。入居者の口座から期日までに入金が確認できればいいのですが、確認できない場合には入居者に対して家賃の督促をします。
3ヶ月以上集金に応じず、家賃の滞納を続けた場合には訴訟を起こし、入居者に出て行ってもらいます。基本的にこのような督促業務や訴訟費用は保証会社持ちで、滞納時の家賃については保証会社が立て替えてくれるものとなります。何ヶ月分までを保証します、といったように代理店によって規定があるので、万が一に備えて入居者の契約中の全期間が保証対象となっている会社を選ぶべきでしょう。
賃貸管理の業務 ②入居中のトラブル対応
次に、入居中のトラブル、問い合わせへの対応です。入居中のトラブルは人関連と、設備関連があります。設備関連であれば、点検作業を行ったのち、修理や交換が必要であれば業者を手配するだけなのですが、入居中に工事を行う必要があるため、日程調整が大きな手間となります。また、工事業者はピンキリなので、「水道業者 トイレの水漏れ」などで検索して1番最初に出てきた業者が1番安く、仕上がりがいいコスパの良い業者であるとは限りません。
使ってみてコスパの良い業者を探していくしかありませんが、相場自体はネットで調べられるものなので、複数社に見積もりを出してもらった上で、相場通りの業者を選択するというのが1つの手です。最も良い方法は、コスパのいい業者というのは複数の物件の管理実績がある、管理会社が把握しているため、内容に見合った業者を手配してもらうことなのですが、結局、手配料金として管理会社が中間マージンを乗せて請求書を発行することが多いため、自分で想定しているよりも費用が高くなることがあります。
人関連の場合、例えば隣人が夜中に泣き喚いていて寝られない、早朝に大音量で音楽を流される、だとかいった内容が多いのですが、まずは事実確認を行い、事実が確認できれば、対象者に注意を促し、改善するまで様子を伺います。ただし、これらの忠告に応じない場合には退去していただけるよう進めるケースもございます。
賃貸管理の業務 ③募集業務
間取り作成や室内写真撮影をした後、各種ポータルサイト、業者間データベースへの物件登録を行います。この際、お部屋が広くきれいに見えるように広角レンズを使ったり、晴れた日の眺望だけでなく、窓から見える夜景など、売りポイントを探しながら撮影しています。いい写真が取れるよう工夫をするのが楽しいです。
間取りに関しては、パンフレットや購入時の間取り図を取り寄せ、それを見本に不動産会社オリジナルの方法で間取りを作成しています。弊社では、パワーキャンパスという図面作成ソフトを使っています。この際、文字の大きさがポイントとなります。間取りの中にどんな設備があるのか、畳数がいくつなのか、窓はいくつあるかなど視覚的に一度で確認できるとお部屋のイメージがしやすいですよね。日当たりの良さなど、バルコニーの向きを気にされる方も結構多いので、方角も間取りの中に入れるなど工夫を施しています。
インターネットや電話、来店などで入居の申し込みが決まったら、保証会社とオーナー様における入居審査を行い、通過したら入居日と契約日を定め、鍵の手配、契約書の作成、発行を行いつつ、入金が確認できたら契約日に契約をする流れとなります。この際、宅建所有者による重要事項説明が必要となるため、自主管理を行う場合にも募集業務だけは不動産会社に依頼するという方もいます。
お部屋を問い合わせてくださったお客様に対して、ただお部屋の案内をするのではなく、契約を進めていただけるような駆け引きも必要となるため、お部屋のグレードだけでなく担当者の手腕も成約が決まるかどうかの鍵となります。
賃貸管理の業務 ④更新・解約業務
・更新
普通借家契約の場合、2年毎に更新となるため、更新月がくる1ヶ月前程度に入居者に更新意思の確認を取り、意思が確認できれば更新書類の作成、発行を行います。更新料は0〜1.5ヶ月までが基準範囲となっています。契約時の契約書類において更新料の記載があるのですが、不動産会社によって設定値が異なるため、更新料がいくらなのか、更新事務手数料はいくらなのかも最初の段階で確認しておくべきでしょう。
・解約
解約は、通常の契約では1ヶ月前通告が基本となっているため、入居者が仮にすぐに退去したいと連絡してきたとしても、基本的には1ヶ月後の解約になることを伝える必要があります。解約日が決まり、入居者の了承が得られたら、鍵の返却方法や解約立会い日を定めます。立会い日には原状回復のため、物件の状態確認をし、どの汚れ・傷に対して誰がいくら払うのかを決定していきます。原状回復費用の規定については、国交省のガイドラインによります。
請求書を発行し、クリーニングや必要に応じて工事業者を手配し、工事の完了後、次の入居者を募集するための業務を開始します。
賃貸管理を委託する費用とメリット
賃貸管理手数料の相場はどれくらい?
管理手数料の相場は、一般的に中堅不動産会社で3〜5%、大手不動産会社で5〜8%となっています。また、大手不動産会社の場合0〜8%まで管理内容に応じて管理手数料が変動するケースが多いのですが、営業としては管理手数料を高く取れれば取れるほど売り上げが上がるため、様々な不安を煽り、必要のない保証や管理内容がついている高額プランをオススメすることもあります。まずは内容を確認し、本当に必要な業務なのか、確認しましょう。ベンチャー企業の場合、無料で管理を行うところもありますが、まともなサービスをしていないところもあります。見極めは自分の目で行いましょう。
管理手数料が業務量に見合っているかがポイント!
管理委託すると手数料がかかるとはいえ、これまで述べてきたように管理業務はたくさんあって手間となるため、管理会社を使って手数料を支払うのは普通じゃないの?
きちんと文章を読んでくださった方ならそう思われるかもしれませんが、実は、それが間違いなんです!
というのも、確かに、業務の中では大変なことがあるのですが、その第一としてあげられる賃料の集送金については、現在保証会社が行ってくれるようになっています。これは、連帯保証人ではなく保証会社の利用が一般化されたことで集送金から督促、保証までを一体化して行った方が保証会社としても手間を省けるというメリットがあるためです。そのため、管理会社の手間は登録時の書類作成くらいになっているのです。
次にトラブル対応ですが、こちらも確かに大変なのですが、ただ入居中のトラブルはそんなに頻繁に起こるものではなく、数年に1回レベルのものなので、毎月のようにトラブル対応に追われることもないのです。
さあ、ここまで把握できればあとは容易に理解できるはずです。管理会社が提案しているプランの業務内容は手数料に見合っているでしょうか?考えてみてください。
賃貸管理会社は何を基準に選べばいいの?
会社の規模と財政状況
大手不動産会社の方が安心して賃貸管理を任せられる、とお考えの方が未だに多いのですが、それはなぜでしょうか?理由を問い詰めてみると、「なんとなく不安だから」といった方が大半を占めます。
しかし実は、大手の場合そのネームバリューを落とさないために募集価格を安くして成約を早めたり、人が多すぎて問い合わせ窓口が内容によって分かれていて逆に手間となってしまったりと、問題もあるのです。また、複数の事業に手を伸ばしていて、今回のコロナ騒動のように飲食、ホテル事業の経営が悪化し、不動産事業側にも影響を及ぼすことも考えられます。
このように、会社の規模が賃貸経営に影響することはほとんどありません。担当がどのレベルで管理業務を把握しているか、業務内容に抜けや無駄はないかが重要な鍵となります。ただ、財政基盤については安定している会社のほうがいいでしょう。特に、管理費を取っている会社や敷金を不動産会社が預かっている場合は、仮にその会社が潰れた場合に本来オーナー様が得られるはずの収益がもらえないまま契約が終わってしまうことになります。黒字経営できているか、資本金や運営資金なども把握しておくべきでしょう。
管理会社の本音
保証会社の一般化や、24時間入居サポートなどトラブル対応についてもサポート会社が存在してきた今、なぜ管理費というシステムがなくならないのでしょうか?
こちらに関しては、大手ほど管理費を無料にできない理由があります。大手不動産会社の経営は管理費を含めた上で成り立っているため、早急に無料化するためには人員削減の必要があります。また、昔からの付き合いの方などが多く、不動産の件数も多いため全ての物件に対して管理費を無料にするにはシステム上の見直しまでが必要となり、そのような手間をかけなくてもネームバリューがあるため、あえて安くする必要もないというのが現状です。
問い合わせ時の対処方法
担当者からの連絡のスピード感や事務作業の丁寧さ、迅速さは何よりも意識すべき点です。賃貸管理は1度入居者が決まれば終わりではなく、その後解約するまでずっと業務が続きますし、何よりも入居者やオーナー様との信頼関係が必要なはずです。
例えば、管理プランを検討している際に、何か不明点があったとして、担当者に内容を聞くとします。その問い合わせへの平均的なスピードが、入居者からの問い合わせへの対応と同じだと考えられるでしょう。だいたいどのくらいのスピード感をもって、納得できるような回答ができるのかということを一度確かめてみてもいいのではないでしょうか。
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