節税対策?生命保険代わり?サブリースのリスクとは
2020年7月6日
節税対策?生命保険代わり?サブリースのリスクとは
2015年の相続税改正を機に、年々不動産投資をはじめる方が増加しています。特に、年収がそこまで多くなくとも、家賃保証付きのサブリースなら手軽にはじめられると増えているのが、都内23区の1Rマンションの不動産投資です。1軒当たり2、3000万程度で購入できるので、銀行からの融資を受け、ローンと家賃収入を相殺しながら節税対策にもつながり、後々の資産となると、なんともメリットのある話のように思われます。
しかし、サブリースによる不動産投資は、本当に自分にとってメリットになるのでしょうか?実際には不動産業界の実態を把握せずに、不動産運用を不動産会社に丸投げすることで、不動産投資における損益を把握していない場合がほとんどです。
今回は、よくある「不動産投資におけるサブリースの落とし穴」と、「サブリースを解約したとき状況がどう変化するか」についてご紹介します。
目次
1.不動産投資:サブリースの落とし穴
結論からお話ししますと、サブリース契約は「不動産会社にとっておいしい契約」となります。サブリースは、不動産が儲けを出しやすい構造になっており、オーナー様側に利益が出るかどうかは二の次であるということになります。
もちろん良心的なサブリースを提供している会社様もございますので、中にはサブリースで上手に不動産投資を行っているオーナー様もいらっしゃいますが、ほとんどの場合、オーナー様が気づかぬうちに赤字経営につながっていることが多く、特に新築マンションを購入・建設させ、その会社もしくはグループ会社がサブリースを契約させるパターンには特に注意が必要です。
「落とし穴って何?きちんと不動産会社のセミナーや説明を受けて契約したし、毎月ちゃんと家賃収入も入ってきていて節税もできているから何も問題はないはず・・・」
このように不審に思われる方もいらっしゃるとは思います。しかし、実際にはまだ気づいていないだけで、すでに落とし穴にはまってしまっている可能性もあることを念頭に、この記事を読んでいただきたいです。
それでは、具体的にどういった人物がサブリースのターゲットとなり、どのようなケースでどういった問題が起こりうるのかについて解説していきます。
サブリースのターゲット①
年収400万超の場合、投資用ローンでマンションを購入して不動産投資を始めるには、手持ちの資金に余裕がないことがわかっているので、「うちの会社なら頭金0円でローンを組むことが可能です!」といったアピールをしたうえで、「サブリース契約で空室保証が10年間つくので、空室が続いてもオーナー様の所得に影響はなく、投資に失敗することはありません」といったようにオーナー様の不安をなくすような形でマンション購入につなげるケースがございます。
その際、不動産投資の営業マンがよく話すのが、「老後働けなくなった際に収入として得られる不動産投資は今始めるべきですよ!」「不動産は生命保険代わりにもなるので、将来お子さんに安定した暮らしをさせるためにも重要なんですよ!」といった内容です。
見込み顧客であるオーナー様がマンション購入を決めた段階で、不動産会社である彼らに数十%もの利鞘が発生することになるので、こういった宣伝文句を売りに何が何でも買わせようと営業をかけてくることは当然です。
例えば、オーナー様が亡くなった場合、330㎡以下の宅地面積が相続税の控除対象となり、相続税を払わなくても、そのまま相続することが可能となります。サブリースで契約される物件はほとんどの場合規模の小さい1Rや1LDKなので、控除対象にあたることになります。
また、オーナー様がローンの残金がある状態で亡くなったり、不幸な事故により重度の障害を負ってしまった場合には、その家族に対して、ローンの支払い義務は残りません。家族は家賃収入を得られる不動産を残金なしに引き継ぐことが可能となります。
もしオーナー様がなくなった場合にも、家族は家賃収入を得ながら、不動産を所有できることになるので、そのあとの暮らしにも支障が出ませんし、通常のように生命保険に加入しなくても生命保険代わりとして利用できることになります。
やはり、内容を聞いただけでは、メリットがあるように感じます。では、何が問題なのでしょうか。
考慮すべきは「空室保証」です。空室保証については、基本的に10~35年で各契約につきますが、そもそも10年保証の場合、新築10年の物件を賃貸需要のある都内で募集をかければ、何か月も空室が埋まらないという事態に陥ることはございません。
ただ、聞こえの良い安心できる営業文句をつけるために空室保証をうたっているだけであり、通常の賃貸募集で募集しても入居が決まるような物件から借り上げ、オーナー様には賃料として実際の成約賃料の8~9割を払うことになるので、それが10年も積み重なれば、仮に家賃が10万の場合、120万も損失が出ている計算になります。本当にオーナー様のためだけに保証をつけるならば、10年先からの空室保証をつけることだと考えられます。
空室保証があるうちはいいのですが、その先、空室保証が外れるころには築年数もたっており、経年劣化による設備交換・解約時の原状回復工事などが必要なうえ、新築物件よりも明らかに借り手がつきにくい状況となるので、空室保証が外れたタイミングでローンと家賃とを相殺できなくなり資金繰りに苦しむことになる可能性もあります。
また、一番たちがわるいのが35年空室保証がついているサブリースで、この場合、ローンの完済期限である35年目まで空室保証をするとはうたっているものの、実際には空室保証の金額は家賃相場により変動しますといった条件が契約に含まれているので、オーナー様が拒否したとしても強制的に家賃を値下げされたり、また、空室が何年も継続して続く場合には不動産会社自体が赤字となるため、強制的に解約を進められる場合もございます。
その段階で残されるのは、ローンの残数と築年数の立った借り手のつかない不動産です。サブリースで入居者つけを任せていたオーナー様にとっては、入居者の募集の仕方もわからず、下がった家賃を上げて募集をしてくれる不動産会社もほとんどいないので、たとえ入居者が決まったとしてもローンを払い続けるのも厳しい状況に陥るのです。
そもそも投資用ローンを組む時、年収が400万超では銀行からの融資を受けるのが難しいはずです。そのようなリスクのある状況でも銀行からの融資を得られるのは、サブリースの空室保証の影響として、銀行が不動産会社から一定の保証賃料が入るなら問題ないだろうと判断することで可能となっています。
つまり、本来は借りることが難しい金額を融資を受けて借りていることになります。これが何を意味するのかというと、将来の自己破産につながる可能性があるということになります。
サブリースのターゲット②
大手企業社員、医者 年収1000万~2000万会社で特別に活躍しているような優秀な人や頭のいいお医者さんでも、節税対策や生命保険代わりになるといった営業文句を真に受けて、不動産投資を始める方が多いです。なぜなら、その企業での業務に特化しているのであって、専門性の高い不動産業界の中では、赤子のような存在であり、不動産業界の実態については情弱であるため、不動産投資の営業マンに容易に手をひねられて、契約を結んでしまうといったケースが多いからです。
年収が多くなれば多くなるほど、気になるのが所得税であり、年収が1000万を超えてくると33%~40%と高い割合で税金がかかってくるので、所得税を減らすために所得項目をなんとか調節しようとはじめられるのが不動産投資という道です。
ですが、所得を減らすということは自分の資金を削ることと同じ意味であり、不動産投資で所得税を削るということはすなわち不動産投資が赤字であることを意味します。不動産投資にかかった経費が家賃収入を上回っている計算になれば、確定申告上で所得を減らすことができ、結果的に所得税が減ることになります。
結果的には損失でも、所得税は減ってはいるので、かつ数年のうちは空室が出るはずもなく、賃料が一定額入ってくることで、高所得者の場合はそこまで失った利益の計算をすることも気にすることなしに、「運用がうまくいってますね!」という言葉を鵜呑みにしてこれならもう少し物件を増やしてもいいかもと物件を2軒、3軒と増やしていくパターンが多いのです。
しかし、この状況はあくまでも現状で高い給与があるから成立しているものであり、のちのち大きな負担につながることになります。もちろん、複数物件を所有していたほうが、1部屋が空室になってもほかのお部屋に入居者が入れば収入が途絶えることもないので、空室リスクを分散できるものの、逆に言えば、ローン返済途中にすべての物件に借り手が見つからなくなった場合のリスクも大きくはなってきます。
自身も同じような状況でマンションを購入してサブリース契約をしているといった方もいるのではないでしょうか?不動産会社は購入・建設時の利鞘を目当てに銀行とタッグになって融資を進め、広い範囲でターゲットを設定し、長期的な不動産投資のリスクから目を背け、不動産投資をはじめさせることが目的となっていることが現実なのです。
それでは、上記の内容も踏まえたうえでサブリースの問題点と、不動産業界の実態についてまとめていきます。
2.サブリースの問題点
購入した瞬間に赤字となる
サブリース契約でマンションを購入させる不動産会社では、その後の管理料における収益ではなくマンション購入時の利鞘を目当てに、オーナー様にマンションを購入させる場合が多いです。つまり、物件本来の相場価格が2200万だとしても、利鞘を上乗せした3000万で購入させ、利鞘をまるまる不動産会社が抜き取るといった構造になっているのです。
この構造の問題は、オーナー様は物件を買った時点で、実際の相場価格とは異なる価格で物件を購入していることになり、赤字になってしまうことです。物件の利回りも下がることになるので、今後の不動産経営においても赤字が続くモデルとなっています。
転貸借契約における空室保証リスク
賃貸マンションを1部屋貸し出す場合、いくつもの物件を保有して賃貸する場合よりも、収益上で多大なリスクがあります。というのも、1部屋しか貸出ししていない場合、その1部屋の空室が続いてしまうと、家賃収入とローンとを相殺できなくなるので、空室期間中のローンを自分で払うことになってしまうため、リスクが大きくなるのです。そういった「ローンを払えなくなるリスク」を避けるために、数十年間の空室保証をつけて不動産投資をはじめさせる会社があります。空室保証がついていることで、もし物件に空きが出ても家賃は不動産会社から支払われることになるので、オーナー様は損をしません。
しかし、空室が続き、空室保証を払い続けるというのは、不動産会社にとって痛手でしかありません。せっかくの購入時に得た利鞘が意味のないものになってしまいます。
なので、基本的には空室が続く前に、サブリース会社は、物件賃料の値下げに踏み切ります。空室保証の契約には、「賃料相場によって賃料の変動が起こります。」などの条文があることが多く、それを理由に、入居者の解約のたびに賃料を下げ、空室期間を短くするという手段をとるのです。
賃料を下げてしまえば、結果的に空室は埋まりやすくはなりますが、賃料が下がった分、かつサブリースだと賃料は成約価格の8~9割しか入らないため、オーナー様の家賃収入はどんどんと減っていくことになります。最終的に、ローン返済と同額になるケースや、もはやローンすら家賃収入でまかなえないといった状態になることもあります。
不動産投資会社の広告やチラシでよくみる「入居率」の文字ですが、実際にはどのような意味をもつのでしょうか。意味通りとらえると、入居率が高いほど、客付けがうまく、管理している不動産の空室が少ないため、安心して不動産を任せられるようにも感じられます。
しかし、実際には、入居率は計り知れないものであり、新規で取り扱う物件が多い場合、必ず空室から始まり、募集をかけて入居者を決めていく形になるので、適切な入居率は換算できません。
また、空室を埋める最も手っ取り早い方法は「賃料を下げる」ことです。相場よりも低い賃料を見れば、必然と入居者の目につきます。賃料を下げれば、入居率97%~99%という高い数値を誇る会社のその数値に偽りはないかと思いますが、その数値に達するには安い値付けが必須となってきます。
借主である不動産会社からの家賃送金が止まれば、オーナー様の収益もなくなる
かぼちゃの馬車の事例でもあるように、不動産会社自体の資金繰りがうまくいかなくなり、倒産した場合に、オーナー様はローンの残金を借金として抱えるうえ、利回りの悪い物件だけが手元に残されることになります。そして、手持ちの資金で不動産のローンを返済できなくなった際には、自己破産につながりかねないでしょう。
倒産して別の不動産会社で募集をかけられるようになればまだ状況はいいのですが、最も悪質なのは訴訟ぎりぎりまで不動産会社が家賃滞納を続けるケースです。サブリースが危険といわれているのはこの解約しづらい構造にもあります。オーナー様は解約したいタイミングで解約することもできずに、さらなる損失を抱えることになります。こちらの内容については下記で詳しく解説していきます。
3. サブリースを解約すれば赤字経営は改善する?
ここまで再三にわたり、サブリースの危険性についてお話してきましたが、サブリースによる危機的状況から脱して不動産投資できちんと利益を得られるよう状況を改善していけるのは、すべてのケースが必ずそうできるというわけではございません。
改善できるケースには【2つの条件】がございます。
少なくとも、弊社で赤字経営から脱却させてオーナー様を助けられるケースとしては、賃貸需要のある「都内」近郊にある分譲マンションやアパートの一室で、不動産の賃料が「下がりすぎている」ものに限ります。
大手の不動産建設業者が取り扱っているような、賃貸需要のない地方の1棟物件などについては、そもそも賃貸需要のない場所にうまい話でオーナー様をだまして建築している場合がほとんどなので、管理会社を切り替えたところで、空室状況は改善されません。空室状況を改善するために値下げしたところで、現在人口の動きとして、地方から都市部への人口移動がおさまらない状況にあることもあり、そもそも入居者の獲得は困難だと考えられます。
都内の分譲マンション、とくに1Rや1LDKなど単身者向けの間取りのお部屋については賃貸需要もあるので、管理会社を切り替えていただくことで、サブリースのような空室保証がなくとも、対抗物件と同じような相場に戻して募集をかけることが可能となり、一度価格が下がってしまった物件についても、適正相場で募集をかけなおすことができます。
さらに、繁忙期など募集のタイミングによっては、さらに価格を釣り上げることができたり、エリアによっては初期費用を安くすることで成約賃料をあげたりなど、状況に合わせてより高く成約できるよう工夫を施すことが可能となっています。
また、弊社の賃貸管理の場合、毎月の家賃が手数料なしに満額オーナー様に送金されるうえ、2年ごとの更新のタイミングで更新料1か月分が収入として得られるため、継続的な収益アップが考えられます。
いざ不動産会社を切り替えて、利回りをよくしようと考えても、サブリースには解約に関する契約条項が存在しない場合があり、良いパターンだと6か月前までの解約通告で解約することができ、悪いパターンだとサブリース会社が又貸しで貸している借主が家賃滞納3か月以上続けないをしない限りは入居者を追い出すことができないため、必然的に解約出来ない場合もございます。
また、最近になって確認されたのは、「解約の6か月前に通告があれば解約できる」といったように解約の条項が契約書類に書いてあっても、不動産会社がその契約条項を守ってくれないケースです。
今年の4月、弊社と取引のあるオーナー様から突然のご連絡が入りました。「R社で1部屋だけサブリースを結んでいるが、今月になって初めて不動産会社からの家賃振り込みが遅れ、先方からは連絡も来ない。」
オーナー様が大変不安がっていましたので、サブリースを結んでいる不動産会社の経営状況等をお調べしたところ、やはりコロナの影響で事業に大打撃を受け、資金繰りが怪しくなっていることがわかりました。
すぐにサブリースを解約し、賃貸管理に切り替えるべきですよとオーナー様にお伝えしたところ、幸いサブリース契約上で解約に関する条項があり、6か月前の通告で解約できるとのことだったので、不動産会社に連絡を取り、解約の申し出を行いました。オペレーターと電話がつながり、解約申請も通ったのであと半年後には解約できると一安心していたところ、今月になって突然、オペレーターではなく上層部から「解約は受け付けません」との連絡が入り、さらには今月からの家賃送金日が遅れるというのです。
こちらとしては、一度は解約を受け入れたのに、急に解約してくれないというのはおかしいですし、非常識であると訴えましたが、訴えをうけたR社は開き直り、借地借家法をたてに、「正当な事由がない限り、容易には解約を受け入れられません」の1点張り。しまいには、「訴訟でもなんでも起こしたらどうですか?それか、私たちに違約金として30万お支払いいただくかどちらかですね」との発言が飛び出しました。
明らかに異常な状況です。オペレーターは通常業務通りに解約を扱っているので、会社の末端は何も知らないままですが、おそらく上層部は会社の資金繰りがうまくいっていないことを把握していて、何とかぎりぎりまでキャッシュを獲得するために、契約者の解約を防ぐことにいそしんでいることが考えられます。
「解約ができない」と悲嘆にくれていましたが、確かに法律上、向こうが違反をしていることはないため、コンプライアンスに問題があったとしても状況を受け入れるしかないというのが現状なのです。
結局、数週間後に再度R社の上層部から連絡が入り、「違約金として家賃の20ヶ月分を支払うことで解約を承知する」との通告を受けました。
契約書に記載がない条件ですが、解約をするために訴訟を起こすこともできますが、借地借家法の効力が強すぎるために、勝てる状況でもないため、明らかに法外な値段を請求されてもそれを承諾して解約を進めるか、タイミングを見計らって契約を継続するかの2択を迫られることになります。
コンプライアンスはその会社と契約してみないと見えない部分の問題ではありますが、不動産投資についてうまい話をもちかけられたり、虫の良すぎる話をされる場合には一度冷静になって状況を鑑みることも重要となります。
サブリースは転貸借契約といって、オーナー様の所有物件を不動産会社が安い賃料で借り上げ、入居者の募集をし、又貸しするので、この時点で物件の「貸主」は不動産会社であり、「借主」は入居者ということになります。この又貸しの危険性としては、本来の貸主であるオーナー様には借主を決める権限がないため、どのような入居者が入っているのかもわからず、通常の審査であれば入居を断るようなグレーゾーンの入居者を受け入れている可能性もあるということになります。
また、一番の問題はトラブルがあった際、不動産会社との契約を解除できない可能性があるという点にあります。サブリースの場合、賃貸管理とは異なり解約についての条項が入っていないケースがあるので、貸主側である不動産会社の滞納が続かない限りは、解約できないことになります。
また、借地借家法の「借主の家賃滞納が続いても、すぐに追い出すことはできない」という”たて”があるとはいえ、不動産会社の家賃滞納が3か月続いた場合、退去させるべき正当な事由となるので、この時点でようやく解約を申請するチャンスを得ることになります。しかし、これですべてが解決するわけではありません。この3か月目のタイミングでやっと、オーナー様は訴訟を起こすことができ、この訴訟に勝訴することができれば、サブリース契約と縁が切れることになります。
解約が成功した場合、2つのパターンに分かれます。
仮に、都内の1Rマンション 家賃10万 訴訟費用30万とすると、
①不動産会社と契約していた入居者の立ち退きにも成功する場合
この場合、家賃滞納分3か月、訴訟費用と立ち退きしたあとのお部屋の原状回復工事費用がかかり、さらに、工事後、部屋のクリーニングをし、募集期間も必要となるため、2~3か月分の家賃収入が得られないこととなるので、少なくとも100万以上の経費が単に解約するためだけにかかってくることになります。
また、解約に素直に応じてくれないような悪質な不動産会社は客付けにおける審査を緩め、どのような入居者でも受け入れているという傾向にあるので、お部屋がぼろぼろにされている可能性も高いのですが、借主は貸主である不動産会社と契約を交わしていただけなので、借主側に壊した部分の修繕費を払ってもらうこともできず、壊されて汚されたぶんの原状回復工事にかかる費用が、すべてオーナー様負担となってしまいます。
②不動産会社と契約していた入居者がそのまま居住する場合
この場合、家賃滞納分3か月、訴訟費用がかかるのでこの時点で60万の負担が発生します。家賃滞納が不動産会社側の問題であり、入居者は通常通り不動産会社に家賃を振り込んでいたにもかかわらず、資金繰りのためにその家賃を資金として別の事業に回すことで、不動産会社が会社を維持するため、オーナー様への家賃滞納を続けていた場合、悪質なのは不動産会社だけということになります。
このように、入居者に特別な問題がない場合はそのまま住み続けてもらい、「この物件のオーナーが変更になりました」といったように、ご連絡するだけで事は済みます。
問題となるのは、入居者が悪質な場合です。入居者自身が滞納を続けていて、不動産会社の資金繰りがうまくいかず、オーナー様に空室保証として支払うはずの家賃を滞納していた場合、サブリースを解約できたとしても、入居者とも契約を解除しなければ損失が変わらないことになります。
入居者がそのままオーナー様への家賃滞納を続けたとしても、「強制的に退去させた場合、入居者の住む場所がなくなることが前提になるので、居住場所を安易に奪うことができない」と、またもや借地借家法によって入居者の居住場所は守られるということになるので、立ち退きを要請するには再び訴訟を起こす必要がでてくるのです。
当然、ここでさらなる訴訟費用、未納分の家賃、退去後の原状回復工事費用・・・と多大な負担がオーナー様にのしかかってくることになります。
サブリースが危険であるのは、このように訴訟を起こさない限り、解約しづらいという構造にあります。一般的な賃貸管理であれば、解約に関して必ず契約内容に条文が必要となっていることもあり、短期解約によって違約金が発生することはあるものの、訴訟を起こしてまで動かないと、解約できないといった問題はございません。
私たちが賃貸管理をおすすめするのはこのためであり、オーナー様はもとより、その会社の実態やコンプライアンスを知らない状態で契約することになるので、もしトラブルに巻き込まれた際、すぐに解約して別の不動産会社に切り替えができるような賃貸契約であれば安心できるでしょう。
サブリース契約の大半が不動産会社にとっておいしい契約になっていることは間違いありません。コンプライアンスに問題がある会社も多く、また、普通の会社であっても、コロナで資金繰りが危うくなってオーナー様に送るための家賃に手を出し、家賃の送金が次第に遅れはじめ、倒産するということも考えられなくはありません。
弊社に管理を切り替えてくださった方々からもそういった相談をお受けしているのが現状です。現況と向き合い、よりよい不動産投資を実現するためにも、不動産投資の経営状況や管理委託契約を結んでいる不動産会社の状況を見つめなおしてみてください。
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