減価償却における耐用年数とは?法定耐用年数について知ろう!
2020年7月6日
減価償却における耐用年数とは?法定耐用年数について知ろう!
耐用年数とは
建物や建物に付属する設備については、耐用年数というものが存在します。耐用年数とは本来の用途用法により、通常予定される効果を発揮できる年数、つまり効用持続年数のことを指します。これらの年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」により定められています。
賃貸管理において主に用いられる耐用年数はこちらです。
・建物の耐用年数
種類 | 耐用年数(住宅) | 耐用年数(事務所) |
---|---|---|
RC、SRC造 | 47年 | 50年 |
木造、合成樹脂造 | 22年 | 24年 |
・付属設備の耐用年数
種類 | 耐用年数 |
---|---|
給排水設備 | 15年 |
ガス設備(給湯器など) | 10~15年 |
冷暖房設備 | 13年 |
エレベーター | 17年 |
耐用年数のより詳しい内容については国税庁HPからご確認いただけます。
「給水設備」:建物に水を供給するための設備
「排水設備」:建物から水を排出する設備
主に住宅で使われるものとしては、水道管、排水管、貯水タンク、給水タンク、トイレの水洗用設備、雨どい、浄化槽などがあります。
このように、建物や設備などに関しては、それぞれの項目に対して細かく法定耐用年数が設定されています。参照:国税庁「法定耐用年数」
では、耐用年数はどのような時に使うのでしょうか。
耐用年数を考慮すべきケース
現在の不動産価格の計算
現在自分の所有している不動産を売る時、売却時に受け取ったお金は譲渡所得となるので、価格に応じた譲渡税がかかります。
課税対象となる譲渡所得は、売却価格から購入費用、仲介手数料や工事費用などの経費を除いたものとなります。建物は土地と異なり年数が経つにつれて価値が失われていくものとして考えていられるため、購入費用は購入時の価格ではなく、損失したと想定される価値分の価格を除いたもの(=減価償却)となります。減価償却費用は、耐用年数によって導き出されます。
減価償却費用の計算方法は、2種類に分かれます。
・定額法
減価償却費=取得価額×定額法の償却率
毎月一定額が資産価値から計上される償却方法で、個人事業主の場合には定額法が用いられます。毎月一定額が減価償却費用となるため、年数が経過していた時に概算が出しやすいのが特徴です。
・定率法
減価償却費=未償却残高(購入年度は取得価額)×定率法償却率
毎年の資産価値に合わせた費用が計上される償却方法で、法人の場合には定率法が用いられます。初年度が最も減価償却率が高く、償却された価値は経費扱いになるため、初年度ほど損益通算により大きな節税効果が期待できることになります。その後は取得費用が年々と下がっていくため、それにつれて減価償却率が低下することから、節税効果が弱まっていきます。
耐用年数から、RC造マンションは50年で価値が0になるとされているため、1年で減る価値分の費用は60万。つまり、10年で600万の価値が失われたという扱いになるため、購入費用は2400万になります。
賃貸物件における原状回復費用の計算
入居者が退去する際、解約時に入居前の状態に戻すため、原状回復工事というものを行います。原状回復工事には、クロスやフローリングの張替え、備品の修復、設備の修理・交換等が含まれます。これらの費用については、誰が費用を負担するのでしょうか?
基本的には、生活の上で傷や汚れがついてしまったものについてはオーナー様の負担となることが多いですが、子供が壁に落書きをしたなど、故意の過失については入居者の負担となります。しかし、入居者が負担するのは、現状の壁に関する費用となるため、その壁が張り替えられてから耐用年数以上経過していた場合、その壁紙の価値は0円という扱いになるため、実質入居者から取れる費用がなくなり、張替についてはオーナー様の負担となります。
耐用年数は、このように入居者に請求できる費用がどれくらいなのかを判断するための材料にもなります。
【今回のまとめ】
今回は、法定耐用年数の概要と使いどころについてお伝えしました。耐用年数は原状回復工事の際にオーナー様の負担費用を定めるだけでなく、物件の売却時にも影響を与える指標となります。自分の所有物件に関する耐用年数についてはある程度把握しておいて損はないでしょう。
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